エピソード3:新たなる希望

今回は前回に引き続き畑プログラムの歴史、第3弾となります。

ふれあい農園ではこの年も鍬(くわ)の音が響きます。
ただ、今までよりも少しだけ鍬の音は静かになりました。

初代農園長がここを去りました。
何人かの患者さんもこのプログラムを卒業しました。

初代農園長もいく人かの患者さんも新しい生活の場所を見つけました。それはとても素敵なことです。しかし、それは同時にふれあい農園が静かになることを意味するのです。

初代農園長はここを去る時、1本の鍬(くわ)を託していきました。荒れ地を切り開き、作物を実らすために共に闘った、それこそ汗と涙がしみ込んだ愛用の鍬(くわ)を託していったのです。それは、これからこの畑を作っていくものたちへのささやかなエールなのでしょう。(そういえば、あの鍬(くわ)はどこに行ったのでしょう・・・この前蜘蛛の巣をとる時に使ったのは確かなのですが・・・)

そんなささやかなエールを背に一人の作業療法士が立ち上がりました。彼女は初代農園長がいなくなって寂しがる農園者や気がつかなかった農園者まで、全員を鼓舞し、引き連れて畑を耕し続けました。
今まで作ってこなかった作物に挑戦し、それらを使った『まかないメシ』を提案。さらに『まかない当番』制度を導入しました。結果、”野菜炒め”、”トマトソース”、”焼き芋”など定番メニューから”正体不明”のものまで、いろいろな料理がプログラムをいろどりました。
 

また、雨の日には木工を行うというプログラムを根付かせ、巨大な棚を作成し、他の作業療法士をひかせました。

こうしてシーズン3が終わるころには、ふれあい農園は他のどの部署も知っているプログラムとなっていました。
そして、気がつけば彼女の右手にはしっかりとあの鍬(くわ)が握られていました。
季節は夏。今年の大雪と猛暑を乗り越え、ふれあい農園はシーズン4の真っただ中!
農園者たちと2代目農園長の活躍はまた折を見て報告していきます。では、また!